「Divergent Lights -拡散する光-」
闇の中にある光がより美しく見えるのは、
闇が深い分、光は温かみをますから。
光は広がれば広がるほど、優しくなる。
闇を抱えるものへの理解、寛容さを、外の世界に、光のように拡散させたい。
腕や頭部の欠損したギリシャ彫刻がより美しく見えるのは、不完全であることがむしろリアルであるからかもしれない。
その不完全さに、私はむしろ美しさを覚えつつ、そのアンバランスなフォルムに惹かれている。
私は、人の心の闇と痛みと、そこから滲み出る光を描きだしたい。
大河原愛
大河原愛は、孤独や不安、心の傷を抱えた人間の精神を奥深くまで見つめ、その暗部を描き出すとともに、存在としてのブレや揺らぎなどを画面に表現します。その一方で、人間の心の深淵に救済の感覚を伴った光をあてることによって、人間の強さをも描きます。
人や人体の美しく描きだすだけでなく、それらを精神が表出した塊と捉え、深い精神性や痛み、葛藤などを線や色で表現します。武蔵野美術大学在学中は日本画を専攻していた大河原ですが、2008~2010年にかけてはニューヨークに滞在、油彩画を中心とした独自の絵画表現を追求しています。国内のアートフェアへの参加、百貨店での個展だけでなく、ニューヨークやロサンゼルスのギャラリーでも展示を行うなど、国内外問わず活動しています。最近では、ファッションアイテムのデザインに作品を提供したり、また芥川賞作家・鹿島田真希の書籍の表紙に作品が採用されるなど、活躍の場を広げています。本展では新作の油彩とともに、ドローイングやコラージュ作品など多彩な内容を展開いたします。キャンバス作品やコラージュ作品において、今回は新たなメディウムを使い、これまでにない表現にも挑戦しています。ぜひご高覧下さい。
大河原愛 展「Divergent Lights」
2018年11月30日(金)~12月22日 11:00~18:00 日、月休み
会場:NODA CONTEMPORARY
※入場無料